不運な星で堕ちましょう【T . Nagayama】

と ページ4

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「クリオネ、綺麗ですよね」















トムさん、であろう人物は、私の隣に立ち、半径およそ50cm程の円状になっている水槽を眺める。















「ss」
















意外と分からないものなんですね、とトムさんを見て微笑む。



















「僕は深海にいる魚が好きなんです。孤独が故、個々に対する想いが深すぎるから」


















と、トムさんが零す。



















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深海ゾーンで3時間程魚を眺めた。



















夕陽が見える水族館のベランダで、二人がけのソファに腰掛けている。



















「トムさんって、不思議な人ですね」



















「そうですか？」



















「私、今まで普通の恋愛ができなかったんです。高校の時も、大学の時も、苦しい恋愛で。このままじゃ一生結婚できずに終わるんだって思って。ヤケクソで入れたアプリでトムさんとマッチングして。トムさん、メッセージとかプロフィールとか、明るかったのでちょっと印象は違いましたけど」



















トムさんのこと、もっと知りたいなって思いました



















これは本音である。今日、一緒に出掛けて、初めは想像していた人と正反対の男性が来て少し戸惑った部分もあったが、話を聞いているうちに、彼の価値観は私には中々ないものである一方、興味が湧いてきたのだ。










苦手だった暗い場所も、少し落ち着ける場所になった。



















Aさんと僕は運命で繋がっています。もっと、教えて下さい



















決して口数が多いわけではないが、言葉の一つ一つに重みがある。

















Aさん、また、会いたいです










そう口にした彼の表情は変わらない。
















この人を理解したい。そう思った。








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SNニュース

アプリ婚カップル、殺害か




昨日未明、都内近郊で男女二人が殺害される事件が発生した。
二人はマッチングアプリで出会い、結婚して一週間だったという。
昨今、アプリ婚のカップルが殺害される事例が多数発見されており、警察は事件に関連があるとみて、捜査を進めている。

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